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デザイン代の代わりに開発を依頼:beak開発ストーリー

白い名刺

「デザイン代を払っていただく代わりに名刺入れを作ってくれませんか?」

木工芸品を得意とする職人さんの会社のパンフレットをデザインさせていただいた時のことです。

デザイン費をお支払いいただく代わりに名刺入れの開発を一緒にやって欲しいとお願いしました。

おたがいにもっと良いものを作ることで社会に貢献したい、と考えていた部分が共鳴していたこともあり、
すぐに「やりましょう」となってくださいました。

それが木でできた名刺ケースbeakでした。


名刺入れというプロダクトは世の中にごまんとある超過当競争な分野です。

さらに、職人さんが一つ一つ手作業で作成する工芸品の価値をちゃんとお伝えしなければいけない。

私は職人さん一人ひとりのものづくりに対する真摯な姿勢、細部にまでこだわり抜く技術があれば、
きっと、まだ世の中にない、みんながそれを手にしたくなるような新しい製品が作れる!

という確信めいた思いを持っていました。

そして同時に、技術はそのままでは価値につながらない
という工芸全般に言える課題にも気づいていました。

デザインはどんな役割を果たせるのか。

そこに大きな使命感を感じながらプロジェクトはスタートしました。


 「アートとデザイン」 

まずは世の中の名刺入れを調べてみました。

そうすると程度の差はあれど大きく2つの価値観が存在することがわかりました。


一つはおしゃれであるかどうか、
もう一つは使いやすいかどうか、

です。


ファッションアートとプロダクトデザインと言い換えてもいいかもしれません。

弊社はどちらで進めるかといいますと、プロダクトデザインでした。

究極的にはどちらで進めても同じ結論に達する気はするのですが、
私自身はずっとデザインを学んできているので、
人間や社会を中心に考えていく方が組み立てやすかったのです。

そこで 工芸×デザイン というコンセプトを設定しました。


 どうすれば使いやすいか 


美しさも必要ですが、使いやすさと美しさは直結するのであまり心配はしていませんでした。

ユーザー観察をする代わりに最大のユーザーは自分自身だったので、
まずは徹底的に自分自身の行動を観察しました。


その時使っていた名刺入れは蓋を開けて取り出すタイプでした。

取り出しやすいし、特に問題はありません。

アルミ製だったためガチャガチャしていて、木製の方がきっと素敵だろうな、と想像することはできました。

ただまあその程度の感覚しかなかったので、しばらく意識して使ってみようと思いました。

すると交流会での名刺交換の場ですぐに問題点に気づきました。

自分の名刺がシャッフルされてどこにあるのかわからなくなるのです。

最初のうちはスーパーの棚のように後入れ先出しを意識しているから迷うことはないのですが、
徐々にシャッフルされる。すると名刺交換の時にまごつく。美しくない

なおかつ、あと何枚自分の名刺があるかも分かりづらく補充のタイミングを見過ごしやすい。

このあたりを解決できる方法を考えようとなりました。


自分の行動を2つに分けてみることにしました。
1、自然な行動
2、意識すればできる行動

1は名刺交換の場で言うと、もらった名刺を一番上にしまうのは自然だと思いました。

意識しないとそれをしてしまうので、結果として名刺がシャッフルされてしまうのです。

2は、自分の名刺を取り出す行動。

これは人の名刺を出すことはないので、自分の名刺は探します。

つまり行動に必ず意識が及びます。

どちらがコントロールしやすいかと言うと間違いなく2です。

ですので1を中心に出し入れを設計することにしました。


1のようにもらった名刺を一番上にしまうことが自然なわけです。

しかも自分の名刺とシャッフルされてはいけない。

そこで考え方を2つに絞りました。「分ける」と「分かれる」です。

「分ける」とはもらった名刺と自分の名刺の入れる場所を決めてしまいます。

そうすれば出し入れで間違うことはありません。

しかし、上下左右どこに分けるにしても「意識」してしまいます。

これでは自然な行動に結びつきにくい。

「分かれる」はオートマチックにもらった名刺と自分の名刺の入れる場所が分かれます。

これだと出し入れで間違うことはありませんし、しまう時に意識することもありません。

しかしどういう機構にすればいいのかがわからないし大げさになってしまう恐れもあります。


とはいえ方向性は決まりました。

自動的に「分かれる」名刺入れにしようと。

できるだけ大げさにならないように。


大げさにならないためには要素を絞る必要があります。

まずもらった名刺をしまうときの一番シンプルな要素は「意識せずに上にしまう」です。

では自分の名刺を出すときの一番シンプルな要素は?

「できるだけ意識せずに出す」です。

逆に言うとちょっとの意識は「あり」です。



「意識せずに上にしまう」ためには入れる場所を一箇所にすることで解決できます。

では一箇所でありながら「できるだけ意識せずに出す」にはどうすればいいのか?

ヒントはババ抜きでした。
相手の手札を取る時に、ピョコンと一枚飛び出していると、
ついつい引っ張り出したくなりませんか?

つまりどんなに自分の手札(もらった名刺)が増えても
常に自分の名刺が一番前に押し出される仕組みになればいいわけです。

相手の名刺は常に上から入ってくるから自分の名刺は一番下にある。

これがピョコンと飛び出すようにするには名刺の長さを変えるしかない。

でも名刺の長さは変えられない。
だったら「箱の深さを変えたらいいのではないか。」


もらった名刺は深く、出す名刺は浅い。

2段差にする?いやそれだと「分ける」になる。

「分かれる」ためには自動的にしないといけない。

段差を細かくすると?いっそのこと滑り台みたいにすれば、

子供の順番待ちのように名刺が自動的に滑り降りてくれるのではないか?

そこで初めて「底を斜めにする」という発想が生まれました。


すぐに厚紙で簡単なプロトタイプ作りました。

自分の名刺は取り出しやすく、もらった名刺は取り出しにくい。

見事に狙い通りの動きを実現できました。
「これならいけそうだ!」

早速職人さんに連絡し木材で試作品作っていただきました。

しかし、ここからが長い道のりとなったのです。。。


続く



 

2018-04-18 00:20:19

折りたたむ

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